Vol.1(16年度)
No.15
2005.1.28

SPP事業(サイエンスパートナーシッププログラム)
招へい講座『生物時計(バイオクロック)を実感する』(採択番号:招90)
時差ボケを体験したことはありませんか?。ヒトの体内時計は25時間で動いているって知っていますか?。
 1月14・15日の二日間、本校生物室にて(独)産業技術総合研究所生物機能工学研究部門生物時計グループ長 石田直理雄先生を講師にお迎えして文科省SPP事業の実験講習会を行いました。
 動物には1日を周期にリズミックな行動を制御する遺伝子が存在していることは高校までの教科書には出てこない内容です。しかし、近年その研究が進み、解明されてきた部分もあり、社会生活にも応用が進みつつあります。多くの研究成果を残され、その分野の第一人者である石田先生とショウジョウバエを使って研究されている西ノ首さんから最新の話題を解説していただき、実験を通して実感しました。
 一日目は、時計遺伝子のひとつであるper2遺伝子の発見者である石田先生から、生物の概日リズムは、遺伝子だけでなく環境条件をたくみに取り込んでリズムが形成されていること、per2遺伝子発見にまつわる苦労話、リズム活動の発生メカニズムについて解明されている分子生物学を分かりやすく解説していただきました。

一日目の講義風景です プレゼンテーションソフトを用いたわかりやすい解説でした。

 二日目は、この日に羽化(蛹から成虫になること)することを想定して、一定の明暗周期(明11:00〜23:00、暗23:00〜11:00)で継続飼育してきたキイロショウジョウバエ(3系統、飼育ビン各10本)を用いて、2時間の間に羽化する個体数をそれぞれ測定しました。時計遺伝子に変異を起こしている系統ごとに羽化する割合の解析を行い、相違した結果から明瞭に時計の存在を理解することができました

前回のSPPで講師をしてくださったサイエンスワールドの田村先生もかけつけてくださいました。 羽化したショウジョウバエの数をカウントしています

 実習を終えて、組織器官によりそのリズムが異なり、常識として行われてきている医療の輸液法の見直しに利用されつつある例や、この分野の研究が一層進むことにより時差労働者の健康改善などへ応用が可能で社会的な要請が大きいと認識することができました。